ニューヨークで開かれた国連総会の本会議で、22日、日本時間のきょう(23日)早朝、日本が主導して提案した、11月5日を「世界津波の日」に定める決議案が、満場一致で採択され、「稲むらの火」の舞台となった広川町(ひろがわちょう)は、号砲やもちまきで祝賀ムード一色となりました。
世界津波の日は、東日本大震災の発生から来年(2016年)の3月で5年となるのを前に、津波の脅威に対して国際的な意識を高めるのが狙いで、自民党の二階俊博(にかい・としひろ)総務会長が提唱し、日本など142ヶ国が共同提案していて、今月(12月)4日の国連総会第2委員会で採択され、22日の本会議で正式に確定しました。
日本政府の関係者によりますと、津波に特化した国際デーは初めてです。
「世界津波の日」に指定された11月5日は、江戸時代の1854年のこの日、安政の南海地震で津波が押し寄せた際に、積まれた稲わらに火をつけて村民を高台に誘導した、広川町の「稲むらの火」の逸話にちなんでいて、日本ではこの日が「津波防災の日」に制定されています。
きょう午前11時ごろ、広川町役場前の広場では制定を祝って祝砲が打ち上げられたあと、もちまきが行われ、二階自民党総務会長や広川町の西岡利記(にしおか・としき)町長らが、町民らに祝福のもちをまきました。
これに先立ち、午前9時半には「稲むらの火の館」で「世界津波の日」制定を祝う看板が序幕されました。
二階総務会長は「大変嬉しい。制定された以上は、広川町や和歌山県が中心となって、津波防災を全国や世界に発信する模範的な取組みをしなければならない」と語りました。
西岡町長は「稲むらの火の館の展示物や英語教育の充実による国際対応の強化や周辺整備に努めたい」と意気込みを示しました。
稲むらの火の館の﨑山光一(さきやま・こういち)館長は「制定を機に、もう一度、世界中の皆さんに、津波が起こったらすぐに逃げることを訴え、逃げ遅れることが無いようになれば良いですね」と喜びをかみしめていました。