和歌山県は、きょう(9日)県立医科大学薬学部の設置基本計画書を公表し、5年後の2021年4月の開学を目指して、和歌山市立伏虎(ふっこ)中学校跡地と県立医大紀三井寺(きみいでら)キャンパスの敷地内に教育施設と研究施設をつくる方針を示しました。
県は、薬剤師の地域偏在の解消や若者の県外流出の防止、それに、まちの活性化を図ろうと県立医大に薬学部を設置する計画を作成し、きょう午前、県庁で幸前裕之(こうぜん・ひろゆき)福祉保健部長と野尻孝子(のじり・たかこ)健康局長が記者会見で公表しました。
それによりますと、伏虎中学校跡地にはのべ床面積およそ2万6千平方メートルにおよぶ講義室や図書室などを備えた教育施設と研究施設を建設するほか、紀三井寺キャンパスの敷地内には、延床面積およそ3千平方メートルの医薬連携の共同研究施設を建設する予定です。
これらの設置にかかる県の負担額は校舎建設151億円、設備や図書教材費20億円、そのほか文化財調査費など6億円のあわせておよそ177億円と見積もられていて、伏虎中学校跡地は和歌山市から県立医大へ無償で貸し付けられる予定です。
薬学部薬学科の修業期間は6年、入学定員100人、収容定員600人、開学に伴い教員を60人程度、職員を20人程度新規採用する予定です。
県では、2021年4月の開学に向けて今年度から基本設計に取りかかり、来年度(2017年度)の文化財調査を経て再来年度(2018年度)から建設し始め、2020年3月に設置認可を申請し、学生を募集したい考えです。
幸前福祉保健部長は「薬学部の新設により、医療系総合大学として県の医療の発展に一層大きく貢献することや、地域活性化などにも結びつくと考えられる」と話しています。
一方、和歌山市議会の特別委員会で伏虎中学校跡地利用について審議中として、きのう(8日)和歌山市の尾花正啓(おばな・まさひろ)市長が、下宏(しも・ひろし)副知事に設置基本計画の公表延期を申し入れたことについて、幸前部長は「いまは2021年開学に向けたぎりぎりの時期で、遅れを生じさせる訳には行かない。むしろ、基本計画書を公表したことで市議会の議論がより活発化されるのでは」と述べ、基本計画通りに進める考えを示しました。