交通事故やスポーツなどの強い衝撃で脳脊髄液(のうせきずいえき)が漏れ、頭痛やめまいなどを引き起こす「脳脊髄液減少症」の治療法「ブラッドパッチ療法」が、今月(4月)1日保険適用されたことを受け、患者や家族の支援団体が、きょう(8日)全国で初めて、和歌山県と県・教育委員会に、治療の推進や支援対策を要望しました。
要望したのは、患者や家族を支援する認定NPO法人「脳脊髄液減少症患者・家族支援協会」の中井宏(なかい・ひろし)代表理事と支援者らで、仁坂吉伸知事と宮下和己(みやした・かつみ)教育長に、県内の医師を対象にした研修会の開催や、県内の学校や家庭、地域への啓発などを求める要望書を手渡しました。
脳脊髄液減少症は、頭痛やめまい、吐き気のほか、思考力の低下を伴うなどの症状が見られる病気で、厚生労働省は、脳脊髄液が漏れた部分に患者の血液を注射する「ブラッドパッチ療法」の保険適用を今月1日に開始しました。
しかし、いまも病気の認知度が低く、周囲や医師から「怠けている」「精神的なもの」と誤解や誤診をされることが多いため、治療と精神的苦痛の解消とともに、病気そのものの啓発が課題となっています。
仁坂知事は「要望に沿って県も頑張っていく」と答え、全面的に支援する考えを示しました。
支援協会の中井代表理事は「医師や市民の認知不足はまだまだ深刻だ」と話し、啓発を全国に拡げる意欲を示しました。