交通事故やスポーツなどの強い衝撃で脳脊髄液(のうせきずいえき)が漏れ、頭痛やめまいなどを引き起こす「脳脊髄液減少症」の治療法「ブラッドパッチ療法」が、今月(4月)1日、保険適用されたことを受け、あす(8日)患者や家族の支援団体が、全国で初めて、和歌山県と県・教育委員会に、治療の推進や支援対策を要望します。
脳脊髄液減少症は、頭痛やめまい、吐き気のほか、思考力の低下を伴うなどの症状が見られますが、周囲や医師から「怠けている」「精神的なもの」と誤解されることが多く、患者や家族の苦痛の解消や治療の推進、病気の啓発が課題となっています。
厚生労働省は、2007年から9年にわたって、脳脊髄液が漏れた部分に患者の血液を注射するブラッドパッチ療法の治験に取り組んだ結果、今月1日から保険適用を開始しました。
これを受け、患者や家族を支援する認定NPO法人「脳脊髄液減少症患者支援の会」などの代表者が、あす午後4時に県庁を訪れ、仁坂吉伸知事と宮下和己(みやした・かつみ)教育長に、県内の医師を対象にした研修会や意見交換会を主催するよう求めるほか、県内すべての病院に対して、脳脊髄液減少症の治療検査の参考データを習得するよう働きかけること、県内の学校や家庭、地域への啓発、それに、国に無料相談窓口の設置を呼びかけることなどを要望します。
患者支援の会・和歌山県代表の中井宏(なかい・ひろし)さんは「支援の訴えは和歌山県が発祥です。一般や医療界、教育関係での認識不足はとても深刻です」と話し、全国に啓発を拡げる意欲を示しました。