明治時代の外務大臣で日本の不平等条約の一部改正に尽力した、和歌山市出身の偉人・陸奥宗光(むつ・むねみつ)が地元の有力者に宛てた手紙が、このほど和歌山大学の紀州経済史文化史研究所から新たに見つかりました。

新たに見つかった陸奥宗光の手紙(1月21日・和歌山大学)
見つかった手紙は、和歌山大学の前身の和歌山師範学校で保管され、のちに紀州経済史文化史研究所が受け継いだ近世の未整理の史料群に含まれるもののひとつで、タテおよそ18センチ、ヨコおよそ72センチの白い半紙に陸奥が筆でしたためています。
手紙は明治25年・1892年1月21日付けのものと推定され、当時の粉河村(こかわむら)・現在の紀の川市から選出された衆議院議員の児玉仲児(こだま・ちゅうじ)に対し、中央政府から和歌山県知事に赴任したばかりの沖守固(おき・もりかた)の陣営に陸奥が接触を持ち、県の内務部長に県政運営を相談するよう働きかけたことが書かれています。

記者発表を行う藤本名誉教授(左)ら
手紙を解読した和歌山大学の藤本清二郎(ふじもと・せいじろう)名誉教授は「現代の政治でもよく見られる、中央の政治家による地方への利益誘導の推進が、明治時代に既に行われていた事がうかがい知れる貴重な史料です」と話し、陸奥の外交上の功績とは全く異なる史料価値の高さを強調しました。
紀州経済史文化史研究所では、ことし(2020年)6月以降、速報展などの形で展示・公開出来るよう準備を進めることにしています。