過労死を防ぐ対策を進めることについて考える厚生労働省主催のシンポジウムが、きょう(18日)午後、和歌山市手平(てびら)の和歌山ビッグ愛で開かれました。
これは、毎年11月の「過労死等防止啓発月間」にあわせて開かれたもので、きょうは2人の有識者による講演が行われました。
はじめに、産経新聞大阪本社の記者で過労死問題を積極的に取材している小野木康雄(おのぎ・やすお)さんが「過労死防止を経営に生かす」と題して話しました。
小野木さんは「過労死・過労自殺は、現代の労働現場における『炭鉱のカナリア』という過労死弁護団全国連絡会議の松丸正(まつまる・ただし)弁護士の言葉は経営の現場にも通じるのではないか。経済産業省は2016年に健康経営優良法人認定制度を創設し、健康管理に戦略的に取組む法人も出始めている」と指摘したうえで、有休取得と業務量の適正把握、パワハラ防止研修、軽微な事故の防止、それに業務の効率化による残業ゼロを実現することで過労死防止につながると述べました。
また小野木さんは、今後増えてくる副業過労死や外国人労働者の過労死の対策の必要性も訴えました。
続いて「全国過労死を考える家族の会」代表の寺西笑子(てらにし・えみこ)さんが「過労死を生み出さない働き方とは」と題して講演し、過労自殺で夫を亡くし、会社を相手取って労災認定を得るまでの訴訟の経験をもとに、ブラック企業から身を守るポイントや、働く側・働かせる側の意識変革の必要性などを話しました。