新しい産業の創出を見据えた研究発表や企業の展示などを集めた、わかやま産業振興財団主催の「わかやまテクノ・ビジネスフェア」が、きょう(6日)午後、和歌山市のホテル・アバローム紀の国で開かれました。
ことし(2019年)で28回目となったフェアには、大学などの研究者や企業の技術者、それに経済団体の担当者らが出席しました。
はじめに基調講演が行われ、産業能率大学の嶋田淑之(しまだ・ひでゆき)兼任教員と、日本コンファレンスセンター協会の田中慎吾(たなか・しんご)会長が「イノベーション成功への視点」と題してベンチャー企業の事例を交えて対談しました。
嶋田さんと田中さんは、アメリカ・ハーバードビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授の著書「ジョブ理論」を引用しながら神奈川県のベンチャー企業が開発し、1枚10万円で販売した床ずれ防止ベッドマットの失敗例を挙げ「機能的には完璧に近かったのに『自分のために家族に負担をかけられない』という悲痛な思いが購買意欲をそいでいたことに気がつかなかった」と原因を分析しました。
その後この企業は、床ずれベッドマットの素材から疲労回復効果のあるTシャツを新たに開発し、これがアスリートに役立つアイテムとしてブレイクしたことから、嶋田さんと田中さんは「イノベーションの成功は機能面だけでなく、感情面や社会的側面の考慮が必要とするジョブ理論の一例です」と述べました。
きょうは分科会も開かれ、県・工業技術センターが太陽電池や偽造防止につながる技術として研究を進めている「光アップコンバージョン」を説明したほか、和歌山工業高等専門学校は生体鉱物形成作用を利用した土壌汚染対策技術に関する研究について紹介しました。