今年度(2019年度)の和歌山県名匠(めいしょう)表彰に、和歌山市の紀州桐箪笥(きりだんす)職人で伝統工芸士の志賀啓二(しが・けいじ)さん70歳が選ばれ、きょう(28日)和歌山県庁の正庁(せいちょう)で仁坂吉伸(にさか・よしのぶ)知事から表彰されました。
県・名匠表彰は、伝統工芸品や生活用品などをつくる高い技術を持ち、地域の文化の向上や発展に功績のあった人を県が表彰しているもので、1974年度から毎年行われています。
46回目となる今回受賞した志賀さんは、18歳から父親のもとで職人として修行を始め、木材の乾燥から加工、組み立て、仕上げなど、ほぼ全ての箪笥づくりの工程を手仕事で仕上げられる数少ない職人です。
現在は仕上げの塗装が専門で、木目を模様として浮き上がらせる「焼き桐(やきぎり)仕上げ」の技法を考案したほか、最近では県・工業技術センターとともに塗り下地に使われる「砥の粉(とのこ)」に色彩を施す技術を開発し、江戸時代から続く伝統技法に進化をもたらしました。
表彰式で志賀さんは「常に創意工夫とお客様にいつまでも喜んで頂けるものづくりを行ってきました。これからも先人が培った技術を継承し、伝統的工芸品の紀州桐箪笥づくりに精進します」とあいさつしました。