厚生労働省による去年(2018年)の人口動態統計で、人口10万人あたりの自殺死亡率が、和歌山県は全国ワースト1位になったことを受け、県では、関連する分野の専門家らによる有識者会議を設けて、今月(10月)29日に初会合を開くことになりました。
去年の人口動態統計によりますと、和歌山県内の自殺者は2001年の317人をピークに減少傾向になり、2014年には167人にまで減少しました。しかし、その後は再び増加に転じ、去年は197人となって、人口10万人あたりの自殺死亡率が全国でワースト1位になりました。
これを受け、先月(9月)開かれた9月定例県議会で仁坂吉伸(にさか・よしのぶ)知事が有識者会議の設置を表明し、今月29日に初会合を開くことになったものです。
会議は、県外委員と県内委員それぞれ4人の8人で構成されていて、座長に医学博士で自殺総合対策推進センターの金子善博(かねこ・よしひろ)自殺実態・統計分析室長、座長代理に医学博士で和歌山県自殺対策連絡協議会座長を務める、県立医科大学・神経精神医学教室の鵜飼聡(うかい・さとし)教授をそれぞれ迎えるほか、白浜町の三段壁(さんだんぺき)での自殺志願者の保護と自立支援を行っている牧師の藤藪庸一(ふじやぶ・よういち)さんや、ワーキングプアなどのドキュメンタリー番組を手掛けるNHK名古屋放送局報道部の板垣淑子(いたがき・よしこ)チーフプロデューサーなども名を連ねています。
仁坂知事は「3回程度の開催予定だが、議論が多岐にわたって深まった場合は回数の追加も辞さない考えだ。しかし、だらだらとやってはいけないので、スピード感を持って実効性のある自殺防止対策を打ち出したい」と述べました。
県では、これまでに保健所の職員が自殺未遂をした人の相談を受けたり、電話やSNSの相談窓口を実施するなど対策事業を行ってきました。
有識者会議の初会合は、今月29日の午後2時から、和歌山市のホテル・アバローム紀の国で開かれる予定です。