南海トラフ巨大地震が発生した場合の津波避難困難地域に設定されている御坊市の名屋(なや)地区に、市内2基目の「津波避難タワー」が完成し、きょう(19日)竣工式が行われました。
御坊市名屋地区は、南海トラフ巨大地震で、最短23分で津波が到達し、浸水深は6・9メートルと予想されていますが、付近に高台などがなく、地域住民370人分の避難場所の確保が急がれていました。
タワーが建設されたのは、御坊市名屋町(なやちょう)1丁目に市が所有する広場の一画で、総工費は2億8000万円あまりです。タワーの高さは15・3メートル、螺旋階段をのぼって避難できる最大の高さは10メートルで、階段の外側はスロープになっていて、車いすやベビーカーでも上ることができます。最上階には、ソーラー式の照明や開閉式の屋根が設置されているほか、簡易トイレや200人分の毛布が備蓄されています。
きょう午前10時から行われた竣工式には、御坊市や設計施工会社の関係者、それに地元住民らあわせておよそ220人が集まり、テープカットや餅巻きで完成を祝いました。式典で柏木征夫(かしわぎ・いくお)市長は「地元の皆さんの意見も取り入れ、安心に繋がる風格のタワーができた。自分の身は自分で守れるよう、各自で避難の仕方を頭に入れてほしい」と挨拶しました。
このあと、市民らはさっそくタワーをのぼり、街を見渡したり、防災備品の使い方を確認したりしていました。地元の有志でつくる「防災女性の会」の龍田壽子(たつた・ひさこ)会長は「この地域は高台がない上に高齢者が多く、もし津波が来たらと不安な毎日でした。1700人分の署名を集めるなど市に要望を続けてきたので、完成して感無量です。階段もあまりきつくないし上りやすい」と話していました。
御坊市内で「避難困難」とされているのは、すでにタワーが建設された薗(その)地区と、今回の名屋地区、それに新町(しんまち)地区のあわせて1209人で、市は来年度(2019年度)中に残る新町地区690人分のタワーを完成させて津波避難困難地域の解消を目指します。