環境省は、きょう(25日)までに、串本町からみなべ町に至る和歌山県の紀伊半島沿岸およそ1万3千ヘクタールを吉野熊野(よしのくまの)国立公園に編入することを決めました。
これは、環境大臣からの諮問で、きのう(24日)開かれた中央環境審議会・自然環境部会の答申を受けたものです。
新たに国立公園となるのは、南部田辺白浜海岸(みなべ・たなべ・しらはまかいがん)と熊野枯木灘海岸(くまの・かれきなだかいがん)の2つの県立自然公園の海域などで、来月(9月)にも官報に公示され、発効します。
これらの地域には、熊野古道唯一の砂浜の道、みなべ町の「千里の浜(せんりのはま)」や日本のナショナルトラスト運動第1号、田辺市の「天神崎(てんじんざき)」などが含まれるほか、地殻変動や浸食作用によって形成され、日本ジオパークにもなっている変化に富んだ海岸景観が多く見られます。また、暖地性(だんちせい)の植物群落やアカウミガメの産卵地などもあり、風景鑑賞や自然探勝などのレクリエーションの場としても重要であると評価され、国立公園に編入されることになりました。
吉野熊野国立公園は、和歌山・奈良・三重の3県にまたがる紀伊半島の中央部から南部にかけての地域で、構造山地やそこを源(みなもと)に深い渓谷を形成しながら下る河川、それに、河川が注ぐ熊野灘沿岸といった特徴的な景観を持つ自然公園で、1936年2月に指定され、来年(2016年)80年を迎えます。今回編入されるのは、この地域に隣接する和歌山県の紀伊半島沿岸海域で、これにより吉野熊野国立公園はおよそ9万3千ヘクタールとなります。
ところで、環境省では、ことし(2015年)5月、和歌山県海岸域の国立公園への大規模な区域拡張を見込んで、田辺市内に自然保護官事務所を開設、自然保護官を配置して、公園の保護管理や適正利用の推進などを図っています。