西日本を中心に１万３千人を超える死者や発症者を出した「森永ヒ素ミルク事件」の発生から、ことしで６０年になったことを受けて、きょう（１３日）、高野町の高野山で記念式典と慰霊祭が行われ、犠牲者を追悼するとともに、食の安全への誓いを新たにしました。
この事件は、１９５５年、森永乳業徳島工場で製造された粉ミルクに大量の工業用ヒ素が混入し、飲んだ赤ちゃんが高熱や激しい下痢を起こして、およそ１年間で１３０人が死亡したものです。
高野山の龍泉院(りゅうせんいん)には、中毒などで死亡した１２００人あまりの過去帳が安置されています。
この日、大阪市の「森永ヒ素ミルク中毒の被害者を守る会」と森永乳業などが、高野山で行った記念式典と慰霊祭には、被害者と森永乳業の宮原道夫(みやはら・みちお)社長、それに、厚生労働省の関係者らあわせて５６人が参列しました。式典で、宮原社長は「事件を風化させず、食の安全を第一の使命とする」と強調し、「守る会」の桑田正彦(くわた・まさひこ)理事長は「二度とこのような痛ましい事件を起こさせない」と述べました。