高齢者に自分の運転技能を見直してもらうプログラムが、きのう(25日)海南市の自動車教習所で行われました。
これは、視力やとっさの判断力が低下しがちな高齢者とその家族が運転技能を見直す機会を作ろうと、海南市と紀美野町の老人クラブや行政のほか、海南警察署や、日頃から高齢者ドライバー向けの講習や検査を実施しているドライビングスクールかいなんが協力して実現したもので、このような取り組みは、県内でははじめてということです。
きのう午前10時から海南市且来(あっそ)の「ドライビングスクールかいなん」で行われた高齢者ドライバー講習には紀美野町老人クラブ連合会の63歳から82歳の男女あわせて18人が参加しました。
プログラムでは、画面に表示される信号の色の変化に反応して運動能力を検査する機械を使って、反射神経や判断の正確さ、集中力などを計測したり、動体視力や視野の広さを測る検査を受けていました。また、参加者がスクールの指導員と教習車に同乗してコースを運転し、運転の癖や車幅(しゃはば)感覚を確認する講習も行われ、S字カーブで脱輪したり、中央線からはみ出してしまうなど、苦戦する参加者もいました。
この後、参加者とその家族、海南警察署の警察官、それにスクールの指導員が検査の結果を見ながら面談を行いました。検査の結果は自宅にも郵送されるということです。
紀美野町で農業を営んでいる池本光男(いけもと・てるお)さん79歳は「やはり年を取ると、どんくさくなりますね。仕事で運転が必要なのに変わりないので集中して運転しなければと感じました」と話していました。ドライビングスクールかいなん広報課の中西潤治(なかにし・じゅんじ)係長は「年齢と共に操作力や判断力が低下するのは誰にでもあることなので、検査を通して自分の能力を知ってもらうことが大切です」と話していました。
和歌山県警察本部によりますと、去年(2015年)県内で起きた交通事故のうち、65歳以上の高齢者が運転していたケースが3割を占め、県内の交通事故件数は減少している一方、高齢者ドライバーが絡む事故の割合は増加しています。