和歌山県は、梅と糖類、それに酒類だけで作る昔ながらの梅酒を「本格梅酒」と表示する業界の自主基準を巡って、酸味料を添加して梅をほとんど使っていないものを判別する方法を開発し、自前の判別技術を持つことで『偽物』の流通を抑止したい狙いです。
梅酒は近年、若い女性を中心に消費が増加していて、2003年からの10年間で生産量がおよそ80%増えた一方、原料の青梅の出荷量は横ばいで、県が需要拡大に取り組んでいます。
「本格梅酒」の表示は去年1月から始まり、多くの梅酒メーカーがPRに活用していますが、酒税法上の規定ではなく、あくまで業界の自主基準のため、これに違反する商品も勝手に名乗ることができてしまうのが課題でした。
県によりますと、判別方法は、かんきつ類などに含まれる酸味成分のクエン酸を分析するものです。コストダウンを目的に梅をほとんど使わない商品の中には、トウモロコシやサツマイモを原料とした人工のクエン酸が添加されていますが、梅由来のクエン酸と人工のクエン酸とでは炭素や水素の重さが異なるため、見分けが付くということです。
共同開発した県と広島の研究所は、この判別方法の特許を出願していますが、国内梅生産量の6割を占める県は「基準を満たしていないのに『本格』を名乗る梅酒の流通を防ぎ、ブランド価値を高めたい」としています。