博物学や民俗学の分野で顕著な業績のあった人に贈る第26回南方熊楠賞に人類学者で明治大学野生の化学研究所所長の中沢新一(なかざわ・しんいち)氏が史上最年少で選ばれ、きょう(7日)田辺市で表彰式と記念の講演が行われました。
中沢氏は山梨県出身の65歳で、地形と人文学を融合した研究「アースダイバー」で注目されたほか、熊楠関連の著書を執筆したり以前から熊野に対して深い敬意をもった発言を繰り返しているため、受賞者として選考されました。
きょう午後、田辺市新屋敷町の紀南文化会館で行われた表彰式で田辺市の真砂充敏(まなご・みつとし)市長が中沢氏に表彰状やトロフィーを手渡しました。
受賞のあいさつで中沢氏は「人類学は蓄積が必要な学問であり、50歳、60歳くらいにならないと本物にならない。新進気鋭のつもりでこれからも頑張りたい。先の長い学問だが、区切りの地点で南方熊楠の名前が入った賞をもらえたことに感激している」と述べました。
また、このあと行われた記念講演で中沢氏は「熊楠の粘菌の研究において思想的に重要なもの3つあり、神話学と生物学、それに大乗仏教の考え方だ。この3つが深く関与している」と熊楠の思想を分析していました。