田辺市と南方熊楠顕彰会が主催する「第35回南方熊楠賞」の授賞式がきょう(10日)午後、紀南文化会館で開催されました。
今年の「第35回南方熊楠賞」は、水産学博士で国立科学博物館名誉研究員の松浦啓一(まつうら・けいいち)氏(76歳)が受賞しました。

松浦氏はフグ目の分類学的研究やサンゴ礁に生息する魚類などの研究で多くの新種を発見するとともに、魚類の分類学からデータベースの構築に取り組むなど、この分野の発展を支える数多くの業績をあげていることが、南方熊楠賞にふさわしい研究者であると評価されました。
松浦氏は受賞をうけ「熊楠翁にちなんだ賞を頂けることは望外の喜びで名誉なことであります。今後さらに魚類の多様性を明らかにする研究を続けなければいけない。」と挨拶しました。

授賞式のあと松浦氏は、およそ200人の聴衆にむけて「魚類の多様性研究、魚類分類学からデータベース構築まで」と題した記念講演を行いました。
「南方熊楠賞」は翁の偉業を称え南方熊楠翁没後50周年の平成2年に制定され、国内外を問わず翁の研究対象であった民俗学的分野や博物学的分野の研究に顕著な業績のあった研究者に対し、人文部門と自然科学部門から交互に毎年一人を選考していて、35回目の今年は自然科学部門からの選考となりました。