和歌山県の気象や防災について考える講演会がきのう(12/15)、和歌山市の県民文化会館小ホールで開かれ、およそ260人の市民が参加しました。
これは、和歌山地方気象台と和歌山県が主催したもので、2つの講演が行われました。
このうち、慶應義塾大学環境情報学部の大木聖子(おおき・さとこ)准教授は、「人を育み、未来を創る、防災を通した教育」と題して講演しました。
この中で、大木准教授は、東日本大震災を受けて、「役に立つ、わかりやすい知識の重要性を実感した」として、「立っていられないような強い揺れの継続時間が10秒程度なら、マグニチュード7で直下型の地震、1分程度ならマグニチュード8で津波の発生する可能性があり、3分程度、立っていられない状況が続くと、マグニチュード9で、巨大津波が発生する可能性がある」という目安を示しました。そして、最大34メートルの津波が懸念されている高知県土佐清水市で、大木准教授の指導のもと始めた防災教育を紹介し、自分が主人公となって、架空の地震や津波に対応する様子を文章にする「防災小説」の取り組みを通して、当初、当事者意識の低かった中学生が、「小説の中で被災して日常の大切さを知った」と感想をつづったエピソードなどを紹介しました。
また、気象予報士で防災士の片平敦(かたひら・あつし)さんも「天気予報の見方と聞き方~和歌山県の気象と命を守る気象情報~」と題して講演し、「台風は、強さと速度がポイントで、より大きくて速度の遅い台風が、被害を拡大させる」などと指摘した上で、「自分が災害に巻き込まれることはないと考えて避難しない人を動かすのは、身近な人の言葉で、大雨などが心配される場合には、あなたが率先避難者になってください」と呼びかけました。
会場には、およそ260人が訪れ、2人の講演に聞き入り、講演の後の質疑応答では、地域の防災力を高めるための方策などを質問していました。