全国で初めて大規模な自然災害に特化した訓練施設が設置された和歌山県消防学校で、きょう(12/12)、風水害を想定した訓練が行われ、現役の消防士が、激しい雨が降る中、浸水した住宅に取り残された人の救助などに取り組みました。
これは、県消防学校が和歌山市加太に移転・新築され、土砂災害や水害などを想定した実践的な訓練のできる施設が併設されたおととし(2017年)以降、現役の消防士を対象に、自然災害への対応力を高めようと、毎年、8日間程度の研修として行われているものです。
今年は、今(12)月4日から13日までの10日間の日程で行われていて、研修には、県内17の消防本部や消防局に所属する28歳から53歳までの消防士30人が参加しています。
きょうは、県・消防学校の訓練施設で風水害を想定した訓練が行われ、研修に参加した消防士が、和歌山市消防局の特別救助隊から指導を受け、送風機で風速20メートルの風が吹き、流水装置で水の流れがある中、流されないよう複数で肩を組んで進む訓練に取り組んだり、浸水した自動車にかかる水圧を体験したりしていました。
4本のホースから水を放って大雨を再現する中、浸水した住宅に、ボートからはしごをかけて住民を救助する訓練では、参加した消防士が、1つ1つの動作を確認しながら、慎重に屋根に取り残された住民役の消防士をボートに下ろしていました。
訓練に参加した田辺市消防本部の木村和彦(きむら・かずひこ)さん46歳は、「ボートの上ではしごをかける経験は初めてでした。水の上なのですごく揺れるし、下でボートを支えるのも大変でした。田辺市でも水害は多いので、職場に持ち帰って共有し、今後に活かしていきたい」と話していました。
県消防学校の辻井雅俊(つじい・まさとし)教務主任は「水害が以前に比べて多くなる中で、助けに行くものが自分の身の安全をしっかり守ることの大切さを知ってもらうとともに、技術を高めてもらえるよう、水の流れや強い風で過酷な環境を作り出しています。これからも本当の現場で必要なことを感じてもらえるよう、学校として、工夫をこらしていきたい」と話しました。
県消防学校の「自然災害対応教育」の研修は、あす(12/13)まで行われます。