近畿財務局・和歌山財務事務所は、ことし(2019年)5月から8月の県内の経済情勢について、個人消費や雇用情勢の状況などから「緩やかに回復しつつある」と判断し、前回のことし1月から4月までの判断を据え置きました。
和歌山財務事務所によりますと、個人消費に関して、百貨店やスーパーでは前半は長梅雨や低温の影響で衣料品や夏物商材が低調でしたが、後半になると消費税引き上げに伴う駆け込み需要の動きがみられ、日用品や化粧品のほか、バッグ・宝飾品・貴金属といった高額な身の回り品を中心に好調でした。ドラッグストアでもトイレットペーパーなどの日用品や化粧品が駆け込み需要の影響で好調でした。
観光は、お盆の台風や日韓関係悪化の影響がみられた一方で、中国の観光客や日帰り客が増えていることなどから堅調となりました。
生産活動は、生産用機械が世界経済の不透明感から海外向けの需要が低調で回復の動きが緩やか、汎用機械は国内・海外向け共に好調、家庭用製品向けの化学工業が堅調、鉄鋼業は海外向けがエネルギー関連製品が好調です。
雇用情勢は、有効求人倍率・新規求人数ともに高い水準で、着実に改善しています。
今年度(2019年度)通期の設備投資は人手不足による省人化・効率化を図る動きが進み、すべての産業で前の年度を上回る見込み、経常利益はすべての産業で増益の見込みです。一方で、景況判断はすべての産業で「上昇」よりも「下降」が多くなっています。
和歌山財務事務所では、先行きについて「各種経済政策の効果などで県内経済は緩やかに回復していくことが期待されるが、米中貿易摩擦や日韓関係、ブレグジットなど海外の動きや、消費税率引き上げ後の消費者マインドの動向などに留意する必要がある」とみています。