来年(2016年)4月に施行される障害者差別解消法のことを知ってもらうため、生まれつき「脳性まひ」の障害がある大阪市の男性が、電動車いすで紀伊半島一周の旅をしています。
この男性は、大阪市西成区(にしなりく)の藤原拓郎(ふじわら・たくろう)さん26歳で、唯一、自由に動かせる右手の指先で車いすを操作し、40日あまりかけて、600キロ走破をめざしています。
藤原さんは特別支援学校を卒業し、23歳からひとり暮らしを始めました。障害者差別解消法は、民間事業者や行政機関が障害を理由に、入店やサービス情報を拒否することを禁止する法律で、藤原さんは「障害者でも自分から行動を起こせることを示したい」と思い立ち、段差を越えるなどのトレーニングを重ねてきました。
そして、今月(9月)12日、大阪市阿倍野区(あべのく)での出発式で、介護事業者や友人らの励ましに、藤原さんは「自立した生活は楽しいと伝えながら走りたい。笑顔で帰ってきたい」と決意を語りました。今後、京都府木津川市(きづがわし)を経て、三重県津市(つし)付近から南下し、三重県と和歌山県の海岸沿いを進んで、40日あまりで大阪市へ戻る計画です。
NPO法人の職員に同行してもらってテントで野宿し、時速5キロ、1日15キロを目安に移動しながら、ルート上の学校や役場に立ち寄って、法律を解説したパンフレットを配布することにしています。