かつて有田川流域にあったとされる納豆の食文化について調べるため、りら創造芸術高校の生徒と和歌山大学観光学部の学生が有田川町で住民への聞き取り調査を行いました。
この調査は、有田川流域に伝わる民俗芸能「御田(おんた)の舞」の台詞に納豆の記述がみられることから信仰と食文化の関係を調べようと行われたものです。
今月(8月)23日に行われた聞き取り調査にはりら創造芸術高校で「地域デザイン」の授業を受けている1年生から3年生と、和歌山大学観光学部の学生らあわせて8人が参加しました。生徒らは、有田川町の沼谷(ぬまたに)と押手(おしで)、杉野原(すぎのはら)の3つのエリアにわかれて住民の家を訪ね歩きました。
このうち、押手地区で中西元昭(なかにし・もとあき)さん82歳の自宅を訪ねたチームは、納豆の情報は得られなかったものの、「御田の舞」にまつわる写真や資料を見せてもらい、大きなヒントを得ていました。一方、杉野原地区で聞き取りをしたチームは70代の男性から、「親が昔、麹(こうじ)を藁(わら)で包んで発酵させ納豆を作っていたが、1953年の紀州大水害で途絶えてしまった」という話を聞き出しました。
りら創造芸術高校2年の東慎太朗(あずま・しんたろう)さん16歳は「全く情報がない地域でも、その隣の地域では手がかりがあったので、少し距離が空くと違う結果が出ると期待を持って調査を続けたい」と話していました。「地域デザイン」の授業では今後、聞き取り調査の結果をまとめて報告書をつくることにしています。