かつて和歌山市のせせらぎ公園近くにあった、傾いた店舗がトレードマークの和歌山ラーメン店として人気を博した「まる豊(とよ)」を創業した夫婦が、高齢化などを理由に、今月(3月)16日でラーメンづくりから引退することになりました。

後継者に店を託し引退する「まる豊」の豊田さん夫妻(3月13日・和歌山市本町)
和歌山市の和歌山ラーメン店「まる豊」を経営する豊田二郎(とよだ・じろう)さん82歳と明子(あきこ)さん84歳の夫婦はともに三重県の出身で、1982年、和歌山市有本(ありもと)のせせらぎ公園近くで和歌山ラーメン店「まる豊」を開業しました。
1990年代末のご当地ラーメンブームの際、しょう油豚骨風味の濃厚な味わいと、地盤が緩んで傾斜角8度にまで傾いた店舗の珍しさも手伝って、全国から観光客が訪れる人気店となりましたが、2017年に立ち退きを命じられ、現在の本町(ほんまち)9丁目にある平らな店舗で再出発しました。
しかし豊田さん夫婦も高齢となり、立ち仕事が辛くなってきたことから閉店も検討しましたが「まる豊の味を守りたい」と、後継を志願した和歌山市出身の20代の男性が修行に励み、店を任せられるまでに成長したことから、豊田さん夫婦は一線から退き、男性にまる豊を託すことを決めました。
豊田二郎さんは「会社を辞めて朝から晩まで修行に励む芯の強さに、安心して店を継いで貰えると確信しました。現役を離れるのは寂しいが、まる豊の名前が残って良かった」と話しています。明子さんは「立ち仕事が辛かったですが、ようやくゆっくり趣味などに時間が使えます。新しい店もどうかひいきにしてもらえたら」と話しています。

現在の店舗
まる豊は、現在の店舗で今月16日まで営業したのち、18日から和歌山市黒田(くろだ)2丁目に移転し、若い後継者による再々出発を迎えます。